日本医療の明日を考える

医療保険存続のために期待される医療費削減の課題と対策

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医療業界の現状

看護師として働いて10年経ちました。年々患者が増え仕事が忙しくなっているのに看護師が増えず、そのため同僚がどんどん退職していき病院全体の環境が悪くなっています。どうすれば医療業界の人材不足が解消され、労働環境が良くなるのか考えてみました。当サイトへのお問い合わせはこちらまでお願い致します。

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今後期待される医療費適正化計画

今後期待される医療費適正化計画

医療保険制度の破綻

日本の医療保険は年金と同じで、若い世代が高齢者を支えるシステムをとっています。しかしこのまま少子化が続き高齢化社会が進むと若い世代が高齢者を支える事が出来なくなり破綻してしまいます。すでに国民から徴収している保険料よりも医療費の方が多くなり、国と地方が負担している状態になっています。しかも、2005年で約33兆円の国民医療費総額は、毎年1兆円ずつ増加し続けています。

医療費適正化計画とは

少子化が進み保険料の増加が見込めない政府は、2025年までに7〜10兆円の医療費圧縮を目標に2008年から「医療費適正化計画」を開始しました。「医療費適正化計画」は厚生労働省が具体的な削減数値や実施手順を定め、2008〜2015年を第一期分として全国、都道府県が同時に実施し、5年ごとに成果を見直し、計画を改善しながら進めていきます。医療費を適正化する方策として、「入院期間短縮」「療養病床削減」「生活習慣病対策」「包括支払制度」「ジェネリック医薬品使用促進」などがあり、実施されてきています。

医療費の見直し

医療費総額の3分の1が老人医療で、特に入院日数の長い県ほど老人医療費が高いという統計が出ています。老人医療削減のため「入院期間短縮」「療養病床削減」は重要政策となっています。「入院機関短縮」は、現在の平均入院日数32.2日から2.4日短縮した29.8日に設定します。「療養病床削減」の療養病床とは精神病床、感染症病床、結核病床以外の病床で、長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床のことを言います。現在高齢者の入院で介護ケア目的のものは、今後療養病床から介護保険施設へ転換し、約35万ある全国の療養病床を2012年までに15万に削減する予定です。これらの政策は「医療機能の分科・連携の推進」と言います。しかし、この政策はまだ問題が多いので計画のめどが立っていません。
次に多いのは生活習慣病の患者の医療費です。生活習慣病による医療費の削減は、国民一人一人が健康を維持し病気にならない事で改善する事が出来ます。そのため、「生活習慣病の予防・対策」として2008年から40歳以上の被保険者対象で「特定検診・保健指導」を始め、2012年までに検診率70%、指導率45%以上を目標にしています。これによりメタボ予備軍を1割減らす事で医療費の削減を目指します。

その他の対策

医療費の割合が高い老人医療と生活習慣病による医療費を削減してもまだ医療費の圧縮目標には足りません。そこで医療機関が過剰診療をしていないかをチェックする「包括支払制度」の創設、合わせて「薬価改定」や「ジェネリック医薬品」の推進も進めています。

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